キハ40系津軽線

　旅程崩壊というものは旅行する際によく起こる事象だ。寝坊だとか渋滞だとか事故だとか。だが今回に際しては、まさかこのタイミングで崩壊するのかよ……という驚きを隠せずには居られなかった。

　予定通り丸二日の滞在を終え、定刻通り到着した上野行きの夜行バスへと乗り込んだ。ああヨンマル恋し、と後ろ髪を引かれつつも南進。小坂PAあたりで眠気が湧いてきたので入眠体制に入った。起きたら蓮田あたりを走っているんだろうな、と思いつつ……

　――だが、騒々しいアナウンスで起こされた場所は、盛岡・柴波SAだった。なんと、震度6強の地震が福島県沖であったらしく、古川以南の東北道が通行止め。復旧の目処は立っていないという。そして2時間ばかりの待機の後、未明1時に決定された針路は"出発地への送還"とのこと。どうやら我々一行は、シベリア抑留ならぬ「津軽抑留」を喰らわざるを得ないようだ。

　とはいっても、こちとら春休みのヒマな大学生である。特に急ぎで帰宅する必要も無いので、レンタカーを借りて追加でヨンマルを追っかけることにしたのだ。だが流石に天候ばかりは曲者で、雪が降るわけでなければ晴れるわけでもないドン曇り状態。難しい天気に難しい路線で苦戦させられつつも、なんとか"勝ち"と言えなくもないカット群をもぎ取ったのであった。