ダイヤ改正まであと一ヶ月を切っていた。一眼を手にして以来、定期的に撮影を継続してきた185系に対する総仕上げをせねばならない時期に差し掛かっていた。この一ヶ月だけでどれだけのものを得られたか……今振り返れば、追い込まれたこの時期に余りに多くのVカットを得られたように思う。
この日は、最近サークル内で流行っていた「特割ワンウェイ」なる神サービスで、伊豆急行方面へと針路を取る。Windy先生の波高情報が真っ赤に染め上がるほどの高波状態。よし、今日は「波×185」をキメるチャンスに違いない! 快晴の下、お気に入りのBGMを流しながら伊豆の尾根を越えた。
そして最初に向かったのは、元旦にも訪れた友路岬。冬の日本海に似た良質な泡状の波が打ち付ける好条件。この状況を見て確信した――今日一日は波に捧げよう。
昼頃まで友路岬で撮影後、ド逆光の片瀬白田駅横の防波堤で過ごしてから稲取海岸へと訪れた。荒れ狂う海風に、吹き荒ぶ波飛沫。すぐ対岸に走っているはずの列車が霞んでしまうほどの荒天。だが一方で、上空に雲は見当たらない。『晴朗なれども、波高し』とは正にこのことだろうか。これで勝てなくては一生勝てぬ! 今、この場で勝利の星を討ち取ってやろうではないか!