No.098

西武10000系「ちちぶ15号」

Location : 正丸面縦

Filming Date : 2020.03.06

Writing Date : 2020.09.13

西武10000系「ちちぶ15号」:正丸面縦

2020.03.10 13:36 西武秩父線:西吾野~正丸(Canon5DmarkⅣ EF300mm F4L IS USM ISO-1000)

撮影日誌

 西武秩父線で収めておきたいカットは一通り抑えたつもり……だったが、やはりどうしても行きたくなるのが人間の性。この日はダイヤ改正前最後のチャンスで、天気は生憎の雨……と言いたいところだが、それは違う。これは"勝利の雨"だ!

 虎視眈々と狙っていたこの正丸面縦はトンネル飛び出しの面縦が非常に魅力的な撮影地であるが、完全順光帯が存在しないという欠点がある。従ってVカットに仕上げるには影が出ない曇りの日、もしくは雨の日がベスト・ウェザーということになる。この3月10日はかなり本降りの雨。翌日から旅行に出かける私にとって、真のラストチャンスだった。

 まずは撮影地の場所を手探りで探す。正直怪しい獣道を登り道なき道を突き進むことすら覚悟していたが、登山道の脇が撮影地だったのであっさりと辿り着くことができた。これでまず第一の関門はクリア。さて、2月下旬に上がったミホジャを参考に立ち位置を決めよう。ミホジャのレッドアローは撮影地と被写体のカッコよさを伝えるには次第点であったが、正直に言わせてもらうとどうしてその構図で撮った?という疑問を抱かされた。この甘い構図を私が完成させようという魂胆で訪問したのである。

 実際に立ち位置に立ってみると、予想通り上手く調整すれば架線柱の点検台をかわして面縦できそうである。しかも棚ボタなことに、300単をブッパして丁度良さげである。これは一粒で二度美味しいではないか。本番迫る中、去年のカシクル並の緊張感につつまれる。これで失敗したら後が無い……きっちり仕留めてやる!

西武10000系「ちちぶ15号」:正丸面縦

2020.03.10 13:42 西武秩父線:西吾野~正丸(Canon5DmarkⅣ EF300mm F4L IS USM ISO-1000)

 緊張に震えつつ、シャッターを切り落とす。解答速報を見て……一安心するのも束の間、正丸トンネル交換で引退ラッピングのレッドアローが来る。さて、どういう構図で撮るか……考えてる余裕なぞなかったが、一方で選択の余地も無かった。

 撮影案はこうだ――『三脚からカメラを切り離し、スムーズな体制切り替えができるようにする。そしてまず先頭を普通の面縦で切り落とす。そしてケツ撃ち。先程の下りは縦アンで仕留めたが、今度は走り去るイメージを出す為に立ち位置をズラした横アンで編成を強調する。』――よし、これで行こう。秩父路を駆けるレッドアローに捧げる、最後の一撃だ。