強羅でバルブした後はガラガラの箱根路をレンタカーで追っかけしていた。鉄道が沢を迂回するように敷設されているせいか、強羅界隈から大平台まで行けば列車より10分弱先行でき効率良く撮影することが可能であった。真っ昼間ではできない芸当に興奮しつつ、大平台~強羅を2往復したのであった。
さて、もう山上側で撮りたいアングルは思いつかない。ならば……塔ノ沢がいいだろう。トンネルに挟まれた奇怪な駅なら雰囲気を上手く出せるはず。国道脇の駐車スペースに車を置き歩いていくと、その桃源郷はあった。紫陽花咲き乱れる中にこじんまりと佇む駅。これは写欲を沸かせてくれる!まずは俯瞰で一発撮影した。
さて、一本行って次は終電である。色々アングルに苦慮しつつ、「これだっ!」と思った位置に三脚を立てる。紫陽花をボカして甘えることなく、それでいて列車の存在がよく分かるだろう。次の山下りは新型だから目立たせる必要はないし…… まもなく、トンネル向こうから列車の足音が聞こえてきた。構えて待つと……これは予想外だ!列車の強力なHIDライトが車両とトンネルを浮かび上がらせるどころか、紫陽花の陰影をより強化してくれた。思い通り、いや、それを超えてくる絵が出てくることの驚きを暫し味わっていた。