EF81「カシオペア紀行」:クリコガ

　大いに悩んだ。たかがカメラの位置5cm変わるだけで、見た目のバランスがここまで大きく変わるとは思っていなかった。一番乗りして線路寄りの立ち位置を撮れたのはいいものの、前後左右上下そして画角の全てがシビアなのである。

　流石インカーブ構図といえる微調整に藻掻き苦しみ、なんとか好みの構図に近づけることができた。そう決まれば後は待機するのみである。今日は日が傾くにつれて、西から雲が流れてくる予報だったはず。だがまだその予兆は見えない。通過まで持ちこたえてくれよ……と祈っている最中、浮雲が太陽の側を掠めた。ヒヤリハットは勘弁である。

　そしていよいよ太陽も落ち、草むらの影が伸びてきた。カシオペアは上野を発車し、定時で下ってきている模様。話によると、ここは遅延すると裏被りされて台無しになるそうだ。それだけは勘弁してくれ……と思っていると「栗橋通過」という声がどこからか湧いてきて、雛壇全体で迎撃体制へと入る。太陽の方角は……雲ナシ！あとは仕留めるだけである。一発切りで仕留めるか、それとも連写で安定させるか悩んだが……ここは5D4を信じるしかないだろう。練習電で連写を試し、勝率は十二分にあった。カーブ向こうから庇付きのゲサンクが飛び出してきた……頼むよ、相棒！