夜の箱根には人気が無かった。デイタイムの箱根は溢れんばかりの人で、バスにも電車にも船にも人の姿を見ないことはまず無い。流石首都圏に近接する観光地か、という感想が思い浮かぶ。だが夜の箱根は寧ろひっそりと静まり返った温泉郷、という印象が強かった。草津のほうがよっぽど人数が多いように錯覚される。
我々は、いつものレンタカー夕方借りで小田厚道路を駆け抜けた。本命は翌朝のハヤネブ朝練であるが、おまけで引退の迫る箱根登山の103-107号を追っかけようという魂胆である。しかしながら当該は日没後早々に湯本の引き上げ線で運用が終了してしまい、やることが消滅。さてどうしたものか……と思ったが、不幸中の幸いで緑+青+赤の三色団子は動いているようだ。そういうことなら、そちらを終電まで追っかけ回そうではないか。人気まばらな湯本の市街地から国道1号を走ることたったの15分。最奥部の強羅駅でソイツに追いついた。
緑も青も赤もそれぞれだととても優れた塗装である。だが、それを3つ繋げた時の編成美のへったくれも無さは尋常ではない。正直言ってゲテモノ臭が半端ないが、鼻炎薬号もといアレグラ号よりは幾許かマシであろう。まずは手堅くバルブ写真で写真を抑えた。