午前中いっぱいは予定通り会津地方の各所を巡ったが、天候は一向に回復の兆しを見せない。かといって特にネタが有るわけでも無い。正直5度の出撃で緑の季節に抑えたいカットは大方抑え終わったのである。さてどうしたものか……ここで、急に真新しい案が提示される。「板谷峠、行けないですかね……?」
確かに、板谷峠は遠い。ここから行くなら一旦中通りに戻る必要がある。だがこれは、鉄道を使ったルートの話である。そう、私たちが使っているのはレンタカー。つまり、別のルートでワープすることが可能なのだ。それは会津と米沢を短絡する「大峠道路」である。この道路を使えば、日暮れ間際の板谷峠に間に合いそうである……!
野沢のトンネル抜きでタラコを仕留めた後、進路を東へと取る。喜多方市街地を回避しつつ、大峠ルートを爆走する。距離にしていえば80km程度あるが、信号知らずで突き進めば凡そ1時間強で到着。天候は山際だからか雨模様であるが、晴れれば逆光条件である以上むしろプラスである。辺りが徐々に暗さを増していく中、県道の踏切が鳴動し始めた。さあ、いよいよ新幹線のお出ましである。