長編成、その中でもとりわけ通勤電車が一番格好良く撮れる場面とはなんだろうか――私の答えは「型に嵌めた編成写真」である。250~300mmの望遠を飛ばし、編成を圧縮して編成美を"魅せる"ことこそ、通勤電車の最上たる撮り方だと考えている。ちょっと上手くなったつもりのキッズがやれスナップだ風景撮りだ陸送だと自慢する世の中だが、それは通勤電車を格好良く撮っているわけではなく、一場面を見せているだけなのではないのだろうか。結局のところ、一番格好良く撮れるのは型にガッチガチに嵌め込んだ編成撮りなのである。
――いきなり私の持論に付き合わせてしまい申し訳ない。この日も呑気に多摩川のエキセンへ向かうと多くの人だかり。皆何を待つのかと思えば、どうやら営業運転間もないこの車両を待っていたようだ。東京メトロの新系列は丸っこいデザインをベースとしつつ、各路線ごとに前面形状にアレンジが多く加えられておりユニークである。撮り終えてから「またお気に入りの系列が一つ増えてしまったな……」と思った次第であった。