ツイッターで上手い!と感嘆することが増えてきた去年の中頃、あることを思い始めた。 『やはり自分も"自治路線"を持つべきではないだろうか……?』
(一般的に)負のイメージが強い"自治鉄"と、私の想定する"自治路線"は異なる。端的に言えば、『実験的な撮影を手軽に行える路線』である。まず遠征先ではそう多くのカット数を撮れないし、撮影地の下調べもネットサーフィン&グーグルウォーキング程度が限界で現地で下調べする時間も確保できない。在り来たりのカットを撮って、そこで終了になりがちである。そこで、①手軽に赴くことができ、②個人的に魅力的な被写体が走っており、③本数が多いという3つの条件を満たす路線を(勝手に)"自治路線"に指名し我がカメラの腕と撮影に対する感性を磨こう、というものである。だがそうそう好都合な路線があるわけ……あるんですねこれが。
その名は、西武秩父線。山間を縫うように走るこの路線は、吾野を境に表情を一変させる。吾野より手前の池袋線区間は高麗川沿いの猫の額のような平地を縫うローカル線の表情を見せる一方で、西武秩父線区間へと突入するとトンネルと橋梁で山岳を貫く高規格路線へと変貌を遂げる。これほど魅力深い路線は唯一無二では?しかも家から1時間で飯能には着くし、本数も日中で片道3本が確保されている。これは"自治路線"に指名しない理由が無いではないか!
というわけで早速出撃。まずは第7高麗川橋梁(ナナコマ)に向かう。アスファルトが敷き詰められた国道から河川敷に降りると、清流流れる高麗川に到着。そして迷わず靴を脱いで入水!浅瀬で慎重にアングルを練って撮ったが、イマイチピンと来ない。車両を片側に寄せすぎたのが原因か?だが安心、本数の多い西武秩父線なら撮り直しが効く。躊躇していた早瀬のところに仁王立ち。盛夏に清涼感を添える一枚が仕上がった。