そういえばレッドアローの所沢4番のバルブ写真を抑えていないことを思い出した。後悔しないうちに取り敢えず押さえておきたい。だが単発では効率がイマイチだし、折角なら池袋行きも撮ろうではないか。そう考え、レッドアロークラシックの時間に合わせて家を出立した。正直なところ撮影地は考えていなかったが、時間は既に18時を回っており当然ながら闇夜。秩父線で秩父線らしいレッドアローを撮ったわけだし、今度は都心を駆け抜けるレッドアローを表現したい。そうなるとやはり複々線を活かすのが最も良いのではないだろうか……移動しながらそう考え、昨日に引き続き中村橋駅へと再び降り立った。
エキセンで構えても無意味なのでホーム中程に陣取る。そして頭中のスケッチを元に練習電で構図を試行した。車両を右寄せにし、左側に富士見台駅と線路のための空白を作り都心感を醸し出す。次にISO感度のノイズと明るさを天秤に掛けながら、微調整を効かせる。ノイズが多くても駄目、かといってRACが分からなくなるぐらいの暗さも駄目。慎重な設定調整が必要だった。そしてシャッターを切り落として家に帰宅後、モニターとにらめっこしながら自分が"見た"色を再現する。
結果的にかなり際どいラインではあるが、何とかレッドアロークラシックと分かる明るさに仕上がった。地下鉄や踏切の照明器具を利用した「夜鉄」……言い換えれば"パチモン闇鉄"ではなく、正に闇の中を疾走する列車の撮影を成し遂げることができた。これこそが字義通りの……そして、私の理想の闇鉄だ。
この記事を書いていて、高速で接近してくるレッドアローの爆音が懐かしく思えてきた。もし西武沿線民の皆様がこの感覚を共有できたのなら……幸いである。