年も暮れ、12月末の夜。凍てつく夜が来て、寒さに凍える手。2019年最後の夜は広島に居た。この日の行程は朝方に呉のホテルを出て昼まで呉観光、その後年越しまでは広島市街地でのんびり過ごす計画だった。しかしながら、今宵は大晦日の夜。観光施設は殆どが閉まっており、広電撮影で時間を潰す算段となっていた。
広電はレトロ車天国!ということでかなり楽しみにしていたのだが、流石に土日の夜である。10年前とは打って変わって新型の連接車群が闊歩していたのだった(まぁ、新型は新型で近未来的で自分好みではあるのだが……)。Wikipediaにズラズラ列挙される車種がおいそれと祝日の夜に走っているわけないよな……という当然の事実に気付くまでには、それ相応の時間が掛かった。
折角なら古そうな車両も狙いたいので、白島線に狙いを定めた。ここなら走っているだろう……というヤマカンだった。だが実際に八丁堀の駅に降り立つと、居るではないか、旧型車が…… 京都市電1900形は単行車では最多勢力なのでそこまで珍しく無いはずなのだが、この日運用が確認できたのは2両だけ。貴重なシャッターチャンスはきっちりきっちり収めればならない。
だが前回述べたとおり、三脚は破損により突放してきたので持参していない。ならば仕方あるまい、機材で殴るしかないだろう!サブ電子ダイヤルを勢いよく回し、ISO2000に設定。行き交う車の中、しっかりと両脇を締め望遠で連写。広々とした道路に佇む単行の路面電車の姿は、何となく年暮れの寂しさを想起させた。