越後線158Mの撮影後、中越に残留して柏崎駅スナップや妙法寺駅星空バルブ等を狙うことも考えたが、スナップを撮るためだけに往復することや満月であることを加味すると、その案はあまり美味しいものではなかった。同行者の先輩と協議し、個人的な推しでもあった只見線小出口へと車を走らせることを提案した。
只見線と言えば、東北地域色の往復する会津側ばかり注目されるが、正直ネット上に無数のカットが上がっており撮り尽くされている感が否めない気がする。一方で運休区間を挟んだ新潟側は、平常時では青髭や赤髭が運用されることが多いからだろうかあまり見かけることが少ない。しかし、里山を分け入って峠へ挑むというロケーションが短距離で楽しめるのは、小出口ならではと言えるだろう。雪の山脈を遠目に見る藪神付近の長閑な風景を始めとして、入広瀬を過ぎて渓谷へと成り行く破間川、そして峠越えの長大なトンネルを抜け山の向こうへと至るところまで、山岳ローカル線の全てがここに凝縮されていると言えるだろう。
その中でも特に推していたのが、六十里越えのハイライトを控える大白川駅だ。 峠越え手前で最後の小休憩を取る駅で、なおかつ朝夕に発着列車が設定されているTHE・山麓の駅である。その駅全体を俯瞰するアングルがあると聞き、一度訪れたかった場所である。闇夜の国道290号を転がし、GoogleMapの予想通り1時間半で撮影地に到着。アングルを組み立て待つこと十数分。辺り一面の闇夜に眩いばかりのヘッドライトを掲げて、大白川止まりの最終列車が入線してきた。