小田急線で通勤を始めてから約1年以上。よく見掛けるLSEにはいつしか愛着が湧いていた。その優美なるロマンスカーの引退と聞いて、居ても立ってもいられない。カメラを担ぎ出し、気がつけば定期最終運行となるホームウェイ83号を狙うために新宿駅で待機していた。
しかし、この駅はどうあがいても狭い。どこからどう撮ろうとも人・人・人。流石に1週間前とは大違いである。到着前から既にお祭り騒ぎになりかけているのも、今日だけの特権である。後ろを振り返れば、まさにレンズの砲列。どうせ正面から狙ったところでまともなカットは狙えないし、そういうカットは先週の日曜日に済ませた。潔く小田原方面に背を向け、白レンズを砲列に向け返す。茶色い光が近づくのを確認して、超ローアンで障害をかわす。38年目の老雄は、最後にして最高の花道をゆったりと入ってきた。