Garally.02

会津の老兵、春待たず

新津・郡山所属 キハ40系

Write Date : 2020.03.13~2020.04.16

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その魅力に取り憑かれた季節は、最期の新緑の時期だった

消え去る彼らに捧げた、会津ヨンマルを追いかける一年

"春"という季節のピースは、永遠に埋まらない

新緑芽吹いて、

会津に通い出したのは、里に薫風がそよぎ始めた頃

風景の雄大さに、心惹かれた

何度も通ううちに、次第に緑の濃さは増していった

田畑に水が注がれ、昼間は汗ばむ季節へと移り変わる

『葬式鉄』――そう言われれば頷かざるを得ないだろう

だが、この新緑の会津に魅了されたのは、紛うことなき事実だった

盛夏来たりて、

盆地だからか、より暑く感じる会津の夏

だからだろうか、朝夕は涼しく心地よく過ごせた

人里離れて、夏の山々を駆け抜けるヨンマルたち

その姿を、慎重に切り取った

気がつけば、もう稲刈りの季節

また一日、一日と引退が近づいてた

晩秋駆け抜けて、

木々が黄色く色づき始めた

山々が冬支度を始めた証だ

秋は、足早く駆けていく

道端には落ち葉が段々と降り積もっていった

紅葉色、黄色、山吹色

極彩色に彩られた山々に魅了された

そんな美麗たる風景も次第に落葉し、冬山へと変貌していった

白銀と戦い、

最後の冬は、全く雪が積もらなかった

機会を見計らって、一日だけ訪れることができた

想像以上に美しい、会津地方の冬

しかしヨンマル無き今、態々赴きたいとも思えない

春と共に去り行く。

春を迎え、静かに彼らは去っていた

正直行けずに終わった撮影地も多いし、

春という季節のピースを埋めることは、遂に叶わなかった

だが、やれることはやったはずだ

彼らのこれからの活躍を願わずにはいられない

さらば、会津の老兵よ

この山々を駆け抜けた日々よ

@2020 exp_poyo